2011年6月13日月曜日

「フェアトレードタウンになるってどういうこと?」



つい先日の6月4日に、熊本市が日本初・アジア初の「フェアトレード・シティ」 に認定されました。おめでとうございます!
▼日本初のフェアトレード・シティに熊本市を認定│ くまにちコム2011/6/5
http://kumanichi.com/news/local/main/20110605002.shtml

 熊本市は4日、途上国の産品を適正価格で売買し、現地の生産者の自立につなげるフェアトレードを推進する日本初のフェアトレード・シティ(タウン)の認定を受けた。世界では1000番目で、アジアでも初めて。
途上国の生産者に適正な労働対価が支払われる公正な貿易や商取引を目指す都市。2000年4月に英国のガースタンがフェアトレード・タウン宣言をしたのを皮切りに、欧米を中心に広がりをみせている。
世界各国に認定機関があり、熊本市は一般社団法人フェアトレードタウン・ジャパン(FTTJ)=東京都=の認定を受けた。
同市はコーヒー、チョコレート、衣料品などのフェアトレード産品を扱う店舗数の基準(人口1万人当たり1店舗)をクリア。市議会は昨年12月、「フェアトレードの理念周知を求める」決議を可決。地元議会の決議という認定に必要な要件も満たしていた。
同日は、市国際交流会館で認定証授与式があり、FTTJの渡辺龍也代表理事が、市民団体フェアトレード・シティ推進委員会の明石祥子代表、幸山政史熊本市長に認定証を渡した。
明石代表は「今日、フェアトレードの種をまいた。どんな花を咲かせるかはこれからだ」、幸山市長は「責任の重さを感じる。認定を機にネットワークが広がるよう、行政としても応援したい」と述べた。式典後、新市街などで啓発のパレードもあった。
マドリード(スペイン)、ヘルン(ドイツ)なども同日、認定を受けた。

熊本市の“フェアトレード・タウン(シティ)”認定をめざして長年尽力されてきた方々やその経緯をご存知の方は、感激もひとしおではないかと思います。心からお喜びを申しあげます! でも、“フェアトレード・タウン(シティ)”という言葉を聞いたことがない方のほうが、まだまだずっと多いと思います。ひとまず、「日本初!? 日本のフェアトレードの一歩前進だね!よかったね!」と、良いお知らせと受け止められ、そしてきっと、「どういう町がフェアトレード・シティになれるの?」「フェアトレード・シティだと認定する機関のフェアトレードタウン・ジャパン(FTTJ)って?」「フェアトレード・シティになったら、何が変わるの?」とさまざまな疑問もわいてくるのではないでしょうか。今回のフェスタでは、そんな疑問をお持ちの方にピッタリのトークショーを行ないます!

▼フェアトレードフェスタ2011 in さっぽろ: ゲスト・トーク
http://ftf2011sapporo.blogspot.com/p/blog-page_13.html

6月26日(日)12:15 ~13:20  ステージ

 「フェアトレードタウンになるってどういうこと?」 
今年7月、熊本市がアジア初のフェアトレードタウンになります。フェアトレードタウンとは何か、地域にとってどんな意味があるのか、お話を伺います。
お話: 
・ツナミクラフト東山高志さん
・ヒマラヤンマテリアル・遠藤昭一さん
・東京経済大学・渡辺龍也さん
・名古屋をフェアトレードタウンにしよう会・土井ゆきこさん
・熊本フェアトレード推進委員会明石祥子さん

くまにちコムのニュースの引用文中に登場している方が二人ともゲストでいらっしゃいます。とってもタイムリー、かつ多様な視点から“フェアトレード・シティ”を考える場にしていければと思います。お近くの方は、ぜひトークを聞きにいらしてくださいね。

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さて、北海道・札幌発のフリーペーパー「ザ・フェアビジョン」も、しばしば“フェアトレード・タウン(シティ)”関連記事を掲載してきました。「フェアトレード北海道」に集まる札幌のメンバーも、日本各地の方々と交流をしながら“フェアトレード・タウン(シティ)”推進について一緒に考えてきたのでした。

日本初の「フェアトレード・シティ」までの最近のできごとと、「フェアトレード北海道」のメンバーとの関わりを、ごく簡単に、時系列で振り返ってみます。

「ザ・フェアビジョン2010年12月-2011年1月号」の特集では、北星学園大学経済学部教授であり「北星フェアトレード」の萱野智篤さんと、「Earth Cover」千徳あす香さん、お二人が「フェアトレードタウン・ネットワーク」名古屋会議の参加報告をされています。今回のフェスタにもお二人とも出展/出店します。(画像をクリックすると大きくなります。)


ここで「ザ・フェアビジョン編集部」は、”フェアトレード・タウン”の国際的参照基準の5項目を下記のように説明しています。
フェアトレードタウンって?

町や地域ぐるみでフェアトレードを応援すると宣言して、認証団体が定めた基準を満たした自治体がフェアトレードタウンと呼ばれます(中略)

国際的参照基準
1.議会で議決をし、議会や役所でフェアトレード製品を使用すること
2.フェアトレード認証製品を扱う店舗数の人口別基準を満たすこと
3.多くの人が利用する施設で、フェアトレード製品を使用すること
4.メディア報道やイベントを使って住民の関心を高めること
5.自治体がフェアトレード推進運営委員会を設置すること

(編集部Hが簡略化しました。「フェアトレード・ラベル・ジャパン」「フェアトレードタウン情報サイト」等参考)

萱野さんの報告には、2010年3月と5月の東京に続き10月の名古屋で、“フェアトレード・タウン”推進に向けたネットワーク会議が行なわれたこと、そして会議では「どのような条件を満たせば“フェアトレード・タウン”と認定することができるか」等を国際的基準5項目を参照しながら、日本の社会状況にあわせた独自項目の設置についても話し合われてきたことが、書かれています。


2010年12月17日には熊本市議会で“「フェアトレード」理念周知に関する決議案”が全会一致で可決されました。これは、”フェアトレード・タウン”の国際的参照基準の1つ「議会での議決」にあたります。その後、「KKTくまもと県民テレビ」の番組に出演するアナウンサーさんにフェアトレードの衣装を着てもらう取り組みも始まりました。KKTのWEBサイトにはアナウンサー村上美香さんによるフェアトレードシティをめざす連載コラムまであります。とてもステキだなと思ったのでご紹介します。

http://www.kkt.jp/column/column1/index.html

2003年から日本での“フェアトレード・タウン”誕生に向けて先頭を歩んできた熊本市の団体「フェアトレード・シティ推進委員会」は、その後さらに2009年から集め始めていた「フェアトレード・シティ推進」1万人署名を2011年2月に市長と市議会議長に提出をするなど、認定に向けてグイグイと進んでいたように見えます。
(※参照:フェアトレードシティくまもと推進委員会 歴史年表)

一方で、“フェアトレード・タウン”の認定をする側の、組織づくりや認定基準づくりも、並行して進んでいました。前述の「フェアトレードタウン・ネットワーク」はその後も会議を重ね、発展的に改組して、法人格を持った「フェアトレードタウン・ジャパン(FTTJ)」が2011年4月に発足しました。
(※参照:FTTJ誕生の経緯)
FTTJの創立総会は514日に開催され、そこで「日本独自のフェアトレードタウン基準」が採択されました(フェアトレードファッションの有名ブランドである「ピープルツリー」さんのHPに、創立総会のようすが掲載されています)。

採択された「日本におけるフェアトレードタウンの基準」の原文は、FTTJのサイトで読めます。

FTタウン基準

基準1: 推進組織の設立と支持層の拡大

(指標)フェアトレードタウンを目指すことを規約などで明示した推進組織が設立されている


基準2: 運動の展開と市民の啓発

(指標)各種のイベント・キャンペーンが行なわれ、メディアに取り上げられている(複数あればよい)

基準3: 地域社会への浸透

(指標)複数の企業、複数の団体が組織内でフェアトレード産品を利用し、組織内外への普及をしている

基準4: 地域活性化への貢献

地場の生産者や店舗、産業の活性化を含め、地域の経済や社会の活力が増し、絆(きずな)が強まるよう、地産地消やまちづくり、環境活動、障がい者支援等のコミュニティ活動と連携している。
(指標)種々のコミュニティ<地域>活動と連携・連帯した行動がとられていること

基準5: 地域の店(商業施設)によるフェアトレード産品の幅広い提供

(指標)
1) 2品目以上のフェアトレード産品を提供する店(商業施設)が、人口3万人未満は2店以上、3万人以上は1万人あたり1店以上あること。ただし、フェアトレードの推進・普及を主な目的とする店(売上げないし取扱品目の半分以上をフェアトレード産品が占める店)が1店以上あること。
2) 各店は2品目以上提供することを基本とするが、1品目だけの場合は0.5店として扱う(品目の数え方は付属資料3を参照)。
3) フェアトレード産品が年間6ヶ月以上提供されていること

基準6: 自治体によるフェアトレードの支持と普及

(指標)地元議会による決議と主張による意思表明が行われ、公共施設や職員・市民へのフェアトレードの普及が図られていること
議論されていた「日本独自の第6の項目」は、FTTJ基準4の「地域活性化への貢献」(地産地消やまちづくり、環境活動、障がい者支援等のコミュニティ活動と連携)という形になっています。

5月18日に「フェアトレード・シティ推進委員会」が、「FTTJ」にフェアトレードタウン認定申請を出しました。FTTJは現地調査を含む審査をおこない、6月4日に熊本市を“フェアトレードタウン”に認定し、晴れて日本初・アジア初の“フェアトレードタウン”誕生となったのでした。この認定は、2年間有効だそうです。

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